小学校の先生にAIを教えて分かった、「使えない」と言う人の共通点
「使えない」と言う人に共通していたのは、能力ではなく入り口に立てていないことだけでした。
以前、地域の公立小学校で教員業務支援員として約1年3ヶ月、先生方にAIの使い方を教える機会をいただきました。そこで見えてきた「使えない」と言う人たちの共通点は、実は先生に限った話ではなく、AIをまだ使っていない人全般に当てはまるものでした。
「使えない」の3つのパターン
「使えない」と言う先生は、年代で言うと上の方が多い傾向はありました。でも20代の若い先生でも、まったく使っていない人はたくさんいました。理由を聞くと、だいたい3つのパターンに分かれていました。使い方がわからない。何に活用できるかわからない。そして、どこまでAIに書き込んでいいのかがわからないから怖い、情報を抜き取られそうで怖い。
機器を使えないわけではありません。学校はもう先生も子どもたちも一人一台パソコンを持って授業をしているので、機械そのものへの抵抗はないんです。足りなかったのは、AIという新しい道具に対する「慣れ」だけでした。
スマホの普及期と、そっくり
この不安は、10年ほど前のスマートフォンの普及期とそっくりです。私はその頃、家電量販店でスマートフォンの販売員をしていました。買ったばかりの人がよく「何をしたらいいかわからない」「難しい」「ガラケーに戻したい」と言っていたのを覚えています。でも結局、みんな慣れていきました。AIも同じで、いきなり難しいことをやろうとせず、普段GoogleでやっていることをまずはAIでもやってみる。それが最初に伝えていたことです。
もう一つの不安は、どこまで書き込んでいいかわからないという線引きでした。ここも、今までSNSに書き込んできた感覚と同じだと伝えていました。公表したくない情報、生徒のこと、同僚のことは書かない。それさえ守れば大丈夫です、と。
誰も困らない業務から始める
私が働いていた地域は、学校全体としてAI活用による業務改善を進める方針でした。子どもたちへの利用は注意点が多く制限も強いのですが、先生たち自身の業務での活用はどんどんしてほしいと言われていました。それでも「言われたところで何をしたらいいかわからない」「入力していい範囲がわからないから怖い」という理由で、業務にはなおさら使えないという先生が多かったんです。だからこそ、生徒や学校の情報がまったく関係しない業務から始めてもらうことにしました。お便りの挿絵、行事のお知らせチラシの叩き台、宿題プリントの試作。失敗しても誰も困らない業務から触ってもらいました。
隣で一緒にやって見せる
最初の一歩を後押ししたのは、隣で一緒にやって見せることでした。「もうできたの?」と聞かれて「全然時間使ってないです、AIがやってくれたので」と伝えると、興味を持ってくれる先生が増えていきました。そこから「やり方を教えて」と言われて、次は自分でやってみる。この流れが何度もありました。
私が勤めていた学校は、教頭先生がとても前向きにAIを使っている方でした。校長先生は校長室にいますが、教頭先生は職員室で先生たちと同じ場所にいる、いわば一番身近な立場の人です。その教頭先生が率先してAIを使う姿を見せることで、他の先生たちも「上が使っていいと言っているなら」と挑戦しやすくなっていました。
質問されたときは、なるべく間を空けずにすぐ対応するようにしていました。ここで間が空いてしまうと、一度きりで使わなくなってしまうからです。優先順位はいつもそこに置いていました。
1年ちょっと働いた最後の方には、多くの先生が前向きに変わっていました。今まで苦手だった業務が、AIを使うことで自分でもできるという自信につながっていたと思います。
足りないのは能力ではなく、入り口
これは学校の先生に限った話ではありません。パパでもママでも、どんな仕事の人にも当てはまる話だと思います。「AIが使えない」というのは、能力の話ではなく、まだ入り口に立てていないだけ。そして、その入り口に立つ後押しをしてくれる人が身近にいるかどうかの差なんだと思います。
実はこの経験、今の私の仕事にもそのままつながっています。オンライン秘書や事務代行として、経営者や現場の担当者に接するときも、専門用語を使わずに噛み砕いて伝える、実際に動くものをすぐ見せる、というやり方は変わりません。使えない人に苦手意識を植え付けず、背中を押す。あの学校で先生方に教えていた経験があったからこそ、今の伝え方ができているんだと思います。
大人になればなるほど、「こんなこと聞いていいのかな」「こんなことも知らないと思われたくない」という見栄が、最初の一歩を邪魔します。でも入り口さえ越えてしまえば、あとは興味が勝手に連れていってくれます。あなたの周りで「使えない」と言っている人がいたら、その人に足りないのは能力ではなく、噛み砕いて教えてくれる人と、最初の一歩を踏み出す場所かもしれません。
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